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【R5葛高150・orange】オレンジ色の風に乗せて(神無月)~10月のラプソディ~

 2か月ほど前、普段は聞こうともしないFM局に周波数を合わせたら、QUEENの「ボヘミアン・ラプソディ」が流れ、数分間だったが、フレディ・マーキュリーの歌声に久しぶりに耳を奪われたことがあった。

 別の日、家人を迎えに行く用があった。車の流れが思ったより少なく、目的地に思いのほか早く到着したので、家人のいるビルの駐車場で待つことにした。家人が出て来るまで30分以上もあったから、クラシック音楽を子守歌に、涼しい夜風に吹かれて少し眠ろうと、エンジンを切り、窓を全開にし、ラジオに電源を入れた。

カーラジオに電源を入れ…

 「次は、リストのハンガリアン・ラプソディです。演奏は〇〇交響楽団、録音は19・・年・・・」と落ち着いたアナウンサーの声が耳に入ると、眠気どころではなくなった。(「◇◇・ラプソディ」のような楽曲名は、クラシックだけではない。ジョージ・ガーシュウィンのラプソディ・イン・ブルーのように、現代音楽でもよく耳にする。一体全体、「ラプソディ」って何だ?マーチやワルツの類じゃないのか?)と、これまで適当に考えていた「ラプソディ」が頭から離れなくなってしまったのだ。

 “ONLINE ETYMOLOGY DICTIONARY”等によると、ラプソディ(英語;rhapsody)の語源は、ギリシア語の“rhapsōidia”(ギリシア語;韻文作品、叙事詩の朗読;本、歌など)に由来し、“rhapsōidia”を朗読する人が”rhapsōdos“(叙事詩の朗読者)で、「歌を縫い合わせる者」という意味を持つそうだ。

 デジタル大辞泉によると、「叙事詩」とは、歴史的事件、英雄の事跡、神話などを題材に、民族または国民共同の意識を仮託した長大な韻文を指し、ホメロスの書いたとされる「イリアス」や「オデュッセイア」のような作品だ。16世紀頃までは文学の一分野だったラプソディが、18世紀には音楽でも使われるようになった。音楽用語集 音楽用語辞典から抜粋すると、「・・・自由奔放な性格を持ち、叙事的、民族的な色彩を帯びることが多い。」とある。

 古代ギリシア時代に歌を縫い合わせる者が、叙事詩を朗読していたことに”rhapsody”が由来していることを知ったら、あるテーマに関連した小さな文章を繋ぎ合わせている『オレンジ色の風に乗せて』も、ラプソディなのではないか、と不遜にも思うようになった。ホメロスは、腹を抱えて笑ってるかも知れないが・・・。

 さて、季節は秋。秋分の日から冬至まで昼の時間がどんどん短くなる一方、夜の時間は長くなる。だから、「秋の夜長」とも言われる。この夜の長さを利用しない手はない。ゆっくり過ごすことができる夜の時間、
何をして過ごそうか。「灯火親しむべし」のことばのように、読書をする人が多いだろう。それとも音楽を聴くことが多いのだろうか。

秋の夜長に一枚。

 欲張りな自分は、あれかこれかではなくて、最初は、古い映画のDVDを見たあとは、こたつにごろ寝してテレビをつけてみるだろう。しばらくして、足から体がぽかぽかしてきたら、今度は布団に移動して、本を読む。この秋は、ハードボイルドの探偵小説をもう一度読みたいと思う。私立探偵フィリップ・マーローが活躍するレイモンド・チャンドラーの小説に夢中になった。主人公マーローのセリフがカッコいい。『プレイバック』の作中でマーローが言ったセリフをもとに、映画『野生の証明』では、「男はタフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない。」と使われたのだった。

その原文に「タフ」にあたる単語は見当たらないのだ。

“If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive.
If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.”

 意訳も含め、訳文は幾つかあるらしいので、あなただったら、このセリフをどう日本語に訳すのだろうか。
 秋の夜長に思うこと。

書き人知らず

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