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【R6葛高165・orange】オレンジ色の風に乗せて(霜月)~紅葉から連想する樹木はなに?~

 秋の夕日に照る山もみじ♪ 紅葉と言えば「もみじ」と思ってしまうのは、この歌のせいか。過去に修学旅行で訪れた京都のお寺で見た美しい紅葉の記憶の中心にも、やはりもみじがある。それと、街中の道沿いや大学のキャンパス内などによくあるのは、黄葉を全身にまとい、その足元にもびっしりとその葉を敷き詰める木。中には、誤って踏みつけるとなんともいえない臭いを周囲に放つ実を、あちらこちらに落とす個体もある。そう、イチョウもまた紅葉を代表する樹木である。

モミジ

 11月は葛巻町の山々もしっかりと色づいた。私は以前から、この季節に国道281号を車で走るのが好きだった。特に、晩秋を感じさせる冷え込みの朝、紅葉した山々に朝霧が立ち込め、そこに朝日が差し込んだときの光景は、まさに絶景である。

 はて、そこに「もみじ」「イチョウ」はあったか?

 スケールが違うのだ。京都や街中の紅葉は目の前にある樹木を見るのに対して、葛巻町の紅葉は色づいた山々を見るのである。これまであまり考えたことのない視点であったが、こんなことを考え、気づいてしまうほど、葛巻町の紅葉には見る者を圧倒する迫力があるのだ。桜に例えるなら吉野山の桜と言ったところだろうか。

 では、その山全体を染めている樹木は何なのか。葛巻町は昔から山林王国として天下に名高く、かつての山林はブナ、トチ、コナラ、ミズナラ、クリなどの落葉広葉樹林、アカマツ、スギ等の針葉樹林の豊かなところで、昭和の時代、カラマツ、アカマツの人口植林が広がったのだそうだ。その中にあって、この時期に存在感を強く示しているのがカラマツではないだろうか。カラマツは、一年を通して緑色のものが多いマツ科針葉樹では珍しく落葉樹であり、秋には葉が濃い黄色に色づく。日本産の針葉樹では唯一であることから「落葉松(ラクヨウショウ)」と書くこともあるそうだ。

 これまで、紅葉という言葉からカラマツを思い浮かべたことはなかったが、紅葉に囲まれて過ごす日々の中でカラマツの存在に気づき、葛巻町の紅葉をより堪能することができたように思う。身近にある様々な物事の魅力に、敏感に気づくことのできる感性を大切にしたいものである。

カラマツ

 葛巻町では今、「第3回くずまきカラマツフォトコンテスト」の作品を募集している。カラマツの魅力に気づいてしまった私にとって、興味津々のコンテストである。

書き人知らず


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