【R6葛高197】オレンジ色の風に乗せて(師走)~県北(けんぽく)の冬~
私は寒くて雪の多い地域で生まれ育った。子供の頃、四季のうちで一番好きな季節を問われれば、迷わず冬と答えた。雪だるまやかまくらを作ったり、ソリやスキーをしたり、雪に覆われた学校の校庭では、放課後、日が暮れるまでサッカーをしていた。サッカーは雪の上でするスポーツだと思っていたほどである。雪が降り積もる景色や、冷たい空気の中で感じる静けさにも、特別な魅力がある。
しかし、仕事の都合で雪の少ない地域に住んでいた時期もあった。釜石市に住んでいた時には冬だというのに雪はほとんどなく、春先に降ったドカ雪のときに生徒と雪かきをした際、雪かきのうまくできない生徒、つまり雪かきの経験のほとんどない生徒を見て驚いたこともあった。今年の4月から再び地元に戻ってきたことで、久しぶりに県北での暮らしを再開した。
久しぶりの県北での生活は、寒さが厳しい中にも、どこか体にしっくりとくる感覚がある。裏山に初雪が降った時のうれしいような感覚、また、その雪景色の美しさ、そんな日に限って晴天だったりもする。そうした県北の冬あるあるが、私を心地よくさせてくれるのかもしれない。
昨今、季節の変わり目ごとに地球温暖化が話題になる。暖冬という言葉も、随分となじんでいる。しかし、この葛巻町の気象データを気象庁のデータベースから調べてみると、気温に着目した場合、実は昔と大きな違いはなく、変わらない寒さが続いているようだ。昔ながらの冬の風景や、寒さの中での生活の知恵が、今もなお息づいていることに、どこかほっとしたような気もする。
この冬は、季節感のある県北の気候を感じながら過ごしていこうと思う。雪の中での活動や、久しぶりにスキー場にも行ってみようかとも思っている。冬ならではの楽しみを満喫し、寒さを楽しむ心の余裕を持ちたいものである。寒さは生活するうえではマイナスのイメージが強いが、そこに価値を見出し、この地域の気候を改めて全身で感じてみるのもよいかもしれない。雪の美しさや、寒さの中での温かさを感じることで、冬の魅力を再発見できるのではないだろうか。
今年もあと一週間となりました。皆様にとって良いお年が訪れることを心からご祈念申し上げます。
これからが寒さ本番、寒さに負けず、健康に気をつけて、素晴らしい県北の冬をお過ごしください。