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【R6葛高143・orange】オレンジ色の風に乗せて(神無月)~挑戦・練磨~

 「限界だ、そもそも何でこんな苦しい思いをしているんだ、もう諦めて引き返そう!などと思っていたとしても、全身を震わせるような感動に出会ったら、体の疲れも、それまでの精神的な苦痛もすべて忘れてしまうんです」と、山小屋の御主人が話してくれた。

 近年、登山を趣味とする中高年が多いという報道を見聞きすることがあるが、実は私もそのひとりだ。2年前の秋から趣味と位置付けて、登山計画を立てたり、登山用品をそろえたり、体がなまってしまわないように抗ってみたりするようになった。学生の頃にも登山に夢中になった時期があったから、30年ぶりの再開である。

燕岳

 しかし、再開後の登山は、とにかく疲れる、下山時は疲労が蓄積し足がガクガクする、その下半身の不安定さのためか高度感のある鎖場などでは恐怖心が強い、登山の後半になると頭痛が襲ってくるなど、若かった頃にはない心身の反応があった。それなら何で山に登っているのかと思われてしまうが、そこが山の不思議なところで、大変だからもう登らないという思考には至らず、疲れないように登る方法や、下山まで安定したコンディションを維持するためにはどうしたらよいのかなど、山に登るための技術や体力をつけようとする方向に気持ちが整理されていくのである。

 登り始めはスローペースで、斜面が急になるほどに歩幅も狭く、水分補給と行動食は意識的にかつ栄養素やエネルギーまで考えた物をなど、YouTube、書籍、経験をもとに、登山に関する知識を増やし技術を少しずつ進歩させた。また、ソロ登山が多いため、怪我や体調不良などの不測の事態を考えると、それなりに装備が充実していった。

 2023年秋、登山を再開して1年、憧れの北アルプスへの挑戦を決意。その後、北アルプスエリアへの下見を2回実施。YouTubeによるイメージトレーニングは数知れず。2024年春、予約開始のタイミングで山小屋確保。あとは、標高2000~3000mに対応できる心身をつくるべく錬磨

 今月、山小屋1泊の北アルプス登山を無事終えた。1年以上にわたり準備してきたことが生かされたのかというと、結果、標高2400mを超えたあたりから軽い頭痛を発症、標高2700m付近を移動中、空気の薄さが原因と思われる息苦しさを体感し少し焦る。こうした症状から、予定では2つの山の頂に立つ予定だったが、一番の目的だった山1つに絞ることに。これまで準備してきたことは生かされたのだが、標高2400m以上の環境での体調の変化については、そこへ行かなければわからなかったことだからやむ無しか。

 今回、この目で見た「北アルプスの女王の異名を持つ『燕岳』」、「青空を突く『槍ヶ岳』」、「山で見上げる満天の星空」、「闇夜に浮かぶ明かりの灯るテントと安曇野市の夜景」の感動は、体の疲れも、それまでの精神的な苦痛もすべて消し去ってくれた。

 次の挑戦は、そう遠くはなさそうだ。

テントと安曇野

書き人知らず


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